3月1日(火)、新型コロナウィルス感染防止対策徹底のもと、本科第31回・専攻科第29回卒業証書授与式を挙行いたしました。生憎の雨の天気でお足元の悪い中にも関わらず、来賓・保護者の方々にご参列いただき、卒業生18名の新たな門出を祝っていただきました。心よりお礼申し上げます。
卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。卒業生の皆さんの凛とした姿を、在校生は真剣な眼差しで見つめていました。皆さんが受け継ぎ、そして新たに築いてこられた伝統や歴史を守りながら、在校生がさらに発展させていきます。皆さんの新たなステージでの活躍を祈念しています。
下記に、校長式辞を掲載いたします。
式辞
甘露の雨に大地潤う今日の佳き日、ご来賓、保護者の皆様のご臨席を賜り、本科第31回、専攻科第29回卒業証書授与式を挙行できますことを幸甚に存じます。
保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。立派に成長されたお子様の姿に感慨もひとしおのことと存じます。これまで本校の教育にご理解とご協力を賜りましたことに、心より感謝申し上げます。
18名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。今の皆さんの表情を見ているだけで、この学校で努力を重ねた自分に誇りと自信を感じていることが分かります。
さて、皆さんが本科、専攻科で過ごした年月の大半は、新型コロナウイルスとの戦いでした。憧れ思い描いていた高校生活や学校行事は中止と変更を繰り返し、窮屈で制限の多い日々でした。しかし、限られた条件の中からできる方法を見つけ出し、実現させた体育祭や文化祭、修学旅行などの成功は、ただ怯え、あきらめるのではなく、知恵と強い気持ちを持って困難に立ち向かうことの価値とチームワークの偉力を学ぶことができました。
感染を防ぐために、原因や対処に関する情報を集め、今、求められていることを理解し、自分だけでなく、周りの人も守るためには何をすべきかをよく考えて行動することの大切さも学びました。また、日常生活においても、些細なことに喜びや幸せ、感謝の気持ちを感じることができる心の豊かさも身に付けたのではないでしょうか。
コロナ禍で失ったものばかりを強調されがちですが、得られたものもたくさんあります。
皆さんは、同じ障がいのある仲間と手話で自由に語り、気持ちを分かち合えたこの環境を離れ、明日から一人で新しい社会へ歩み出します。自分が想像していた生活と違うことや、くじけそうになることに何度も遭遇するでしょう。
ヘレン・ケラー女史は次の言葉を残しています。
「世界は辛いことでいっぱいだけれども、それに打ち勝つことでも溢れている」
コロナに立ち向かった高校生活のように、周りの状況をよく見て、できることを考え、勇気をもって何事にも挑戦し続けてください。私達はずっと応援しています。
卒業する皆さんの輝かしい未来に幸多からんことを祈念して、式辞といたします。
令和4年3月1日
福岡県立福岡高等聴覚特別支援学校
校長 中野康子
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