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2017年8月22日

聴覚障害者進学支援セミナー

8月22日(火)、本校において、聴覚障がい者進学支援セミナーを開催しました。

当セミナーには大学進学を目指している本校生徒の他に、聴覚障がいのある高校生や保護者、関係教職員などが参加しました。大学から提供される情報や支援の事例、本校卒業生の体験談に熱心に耳を傾け、少しでも多くのことを学んで帰ろうとする真剣な姿が見られました。


講話①「聴覚障がい者の大学進学と合理的配慮」 

筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター 障害者支援教育部 白澤 麻弓 准教授


 昨年4月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)」が施行されました。これを踏まえて、今年3月には、文部科学省から「障害のある学生の修学支援に関する検討会報告(第二次まとめ)」が出されました。

障害者差別解消法では、「不当な差別的取り扱いの禁止」、「合理的配慮の提供」の2つがポイントになります。

第二次まとめでは、「障がいのある学生が大学に申し出ることで、支援方法について協議をし、合理的配慮の提供を決めていく」と書かれています。ポイントは、支援を必要とする学生が申し出なければ配慮は受けられないということです。

大学との対話は法律で保障された権利です。なぜ困っているのか、どうしてほしいのかを、きちんと大学と話をしてみることで、大きな一歩が踏み出せるでしょう。


講話②「本学における聴覚障がい学生の修学と聴覚障がいへの理解」

九州ルーテル学院大学 人文学部 心理臨床学科 佐々木 順二 准教授

 

 現在、聴覚障がいのある学生は4名在籍しています。聴覚特別支援学校出身者や高等学校の出身者もいます。それぞれの実態に合った支援が必要になります。

そのために、まずは聴覚障がいについて理解をする必要性が出てきます。ボランティアとして、地域のろう学校に行くなど、聴覚障がいのある人と触れあう機会を設けています。

 支援については、講義での手書きノートテイクやパソコンノートテイクをしています。講義以外では、入学後のキャンプで放映する動画に字幕をつけたり、手話をつけて自己紹介をしたりしています。サークル活動などで会議があるときも、発言者は決められた場所で発言をしたり、順番を決めて発言をしたりして聴覚障がいのある学生が孤立しないような支援・工夫もしています。

 ほかにも、手話の学習会の開催、日本聴覚障害学生高等教育支援シンポジウム(PEPNet-Japan)への参加、手話カフェの試み、手話とろう文化に関する講座の開催、また、ろう学校で実際に働いている聴覚障がいのある先生をお呼びしたこともありました。

 「大学進学をする人も、就職をする人もいるでしょうが、それぞれの場所で、自分ができる役割があると思います。それを磨いて伝えていってほしい」です。


体験発表①「大学生活について」

筑波技術大学 総合デザイン学科 2年 安永 悦子 さん 

 

 初めて親元を離れ、茨城県にある筑波技術大学に通う安永さん。

 「寮が自然に囲まれたところにあるため、ときどき虫が出て、追い払うのが大変です。自分の好きな時間に好きなことができ、楽しく過ごしています。でも、料理を作るのが大変で親のありがたみがわかりました。

 大学ではデザインに関する基礎知識を学んでいます。ほとんどの講義でパソコンに向かっているので目が疲れます。

 将来について、まだ具体的に決めていませんが絵に関わる仕事に就きたいと考えています。自分にできること、やりたいことを探している途中です。

 自分は何が好きで、何がしたいのかよく考え、それをもとに自分で行動を起こしてみてください。」と、大学や寮での生活の様子を話してくれました。

最後は、「私の大学では、手話、パソコンノートテイク、モニタ提示など情報保障が整っています。しかし、情報保障が整っているから進学しよう、ということではなく、自分が何をしたいかを考えたうえで進学した方が良いと思います。自分に合った大学を探してみてください。

また、英語が重要です。デザイン系を目指すならデッサンをしっかり身につけておくと良いですよ。困ったときは、自分だけで解決しないで、周りの人を頼り、相談しながら解決していってください。」と後輩へのメッセージを残してくれました。


体験発表②「後輩に伝えたいこと」

九州産業大学 芸術学部 写真映像学科3年 鎌田 拳伍 さん 

 

 写真映像学科に通う鎌田さん。

 「まず写真についてのイメージを持ったもらうために、授業の内容を紹介します。フィルムを使用した撮影や画像処理、色彩学などをしています。

 入学後一番苦労したのは、暗室での授業です。真っ暗な部屋の中で8時間ぐらいこもって講義を受けています。周りの友達は先生の声を聞き取りながら進めます。私は聞こえないので、筆談をお願いしようとします。しかし、暗いのでそれもできません。

 この経験を活かして、授業の前に手順を覚えるようにしました。忘れてしまった場合は教室を出て、アシスタントの先生に確認をしました。また、周りの友達にも何か指示があったときは肩をたたいて教えてくれるようにお願いしました。他にも失敗はありましたが、楽しい大学生活です。」と、大学の講義の面白さや苦労について話してくれました。

最後に、「大学に入って、『感謝の気持ちを忘れない、学ぼうとする姿勢をみせる、丁寧にお願いをする』ことが大切だと感じました。また、これから『自分から挨拶をする、得意なところを磨く、好きなことを追求する、未知への冒険心、今を楽しむ、語彙力を身につける』など、今のうちからできることを考えて、進路実現に向けて頑張りましょう。」と後輩へのメッセージを残してくれました。






福岡県立福岡高等聴覚特別支援学校〒814-0021福岡県福岡市早良区荒江3-2-2
Tel:092-845-6931 Fax:092-822-6503
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