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2016年8月22日

聴覚障害者進学支援セミナー

8月22日(月)、本校において、聴覚障害者進学支援セミナーを開催しました。

当セミナーには大学進学を目指している本校生徒の他に、聴覚障害のある高校生や保護者、関係教職員などが集いました。大学から提供される情報や支援の事例、本校卒業生の体験談に熱心に耳を傾け、少しでも多くのことを学んで帰ろうとする真剣な姿が見られました。

 

「聴覚障がい学生の支援について」

九州産業大学 学生部厚生課 角 有沙 様

 

現在、1万人もの学生が通う九州産業大学には7つの学部があり、そのうち4つの学部に聴覚障がい学生が在籍しています。平成24年から「障がいのある学生の支援に関する委員会」が設置され、ノート(パソコン)テイクについても委員会で審議を行いながら組織的に支援を行っているそうです。

学内では定期的に学生からノートテイクボランティアを募り、養成講座を経た学生がノートテイカーとして聴覚障がい学生の支援をしています。現在、51人の登録者がおり、ノートテイク担当者については、聴覚障がい学生本人が、支援が必要な講義を申請し、学生部厚生課や登録者と相談をしながら決定されています。

このように学校が準備したノートテイクのシステムはありますが、活用するにあたり、いま一度自分に必要な支援が何であるかをよく考え、周囲に自ら支援を求める行動力を養ってほしいと話されていました。

大学では、学問だけでなく、自分の障害を理解し、社会参加に向けて積極的に行動していかなければならないことを改めて気付かされるお話でした。

 

「聴覚障害者の進学と障害者差別解消法」

筑波技術大学 障害者高等教育研究支援センター 障害者支援教育部 白澤 麻弓 准教授

 

 本年4月に「障害者差別解消法」が施行されました。名前は聞いたことはあるけれど・・・という方も多いのではないでしょうか。大学で学ぶ学生達にどのように関わり、どのような場面で必要になるのか。白澤先生に、分かりやすく解説していただきました。

 「障害者の生活を大きく変える障害者差別解消法。知らないともったいないよ」との白澤先生のこのひと言。

 法律のポイントは「不当な差別的取り扱いの禁止」、「合理的配慮の提供」の2つ。それぞれ事例を挙げて説明してくださいました。事例によく似た経験をしたことがある生徒も数名いたらしく、参加者の表情も真剣そのもの。時折うなずきながらメモをとる生徒や参加者の姿がみられました。

また、合理的配慮が個別の事案に対応して提供され、十分な配慮が得られない場合は異議申し立てができるということを、講義の中で初めて知った方も多かったと思います。

これまでは、十分でない配慮に不信感を抱きながらも、どのように対応すればよいのか分からず、悔しい思いをされた方もおられたようですが、これからは自分に必要な支援について配慮を求めることが、法的な根拠に基づいて認められるのです。

 聴覚障害者として、「障害者差別解消法」を正しく理解し、権利を適切に行使(使うこと)できる力を身に付けることも、大学進学を目指すうえで必要な要素であると思います。

 

「大学生活を始めてみて」

筑紫女学園大学 人間科学部人間関係専攻 発達臨床心理コース1年 花田 あゆみ さん

 

スーツ姿がとても初々しい花田さん。大学を目指す後輩たちの力になりたい!と、みんなが聞きたい知りたいことをたくさん話してくれました。

幼稚部から高等部まで聾学校で学んできた花田さん。コミュニケーション手段はもちろん手話。そんな花田さんにとって、手話のない授業や学生生活は苦労の連続。慣れるのに時間がかかったそうです。

しかし、高校時代から何事に対しても真摯に取り組んでいた花田さんは、ノート・PCテイクを受けるからには、自らが情報保障や障害者の支援について学ぼうと、「MSG(学内の障がい者支援団体)」の講習会や学習会に積極的に参加し、たくさんの仲間に出会うことができたそうです。

最後に、聴覚障害学生として、大学で学ぶ自分自身が大切にしていることと、大学進学を目指す後輩たちへ頑張ってほしいことを次のように話してくれました。

○ノート・PCテイクをしてくれる学生に対する感謝の気持ちを忘れないこと。

○進路について迷った時、自分の思いを保護者や先生にきちんと伝え、相談にのってもらうこと。

そして、後悔のないよう最後は自分自身で決めること。

 ○ひとつでも多く言葉を覚え、語彙を豊かにすることが大切であること。

 

 

「今、伝えたいこと」

九州産業大学 工学部 バイオロボティクス学科3年 鍋島 隆太朗 さん

 

 3年前、数学の先生になりたくて大学進学をめざした鍋島さん。現在大学では、ロボット技術や機械工学など最先端の技術を学んでおり、その技術を工学・医学・福祉といった側面から社会で生かせる仕事に就きたいと、熱く語ってくれました。

 大学の情報保障は有志学生によるノートテイク。貴重な時間を使ってくれるテイカーへの感謝の気持ち、労をねぎらう気持ちを忘れないことが大切ですが、ノートテイクの技術には差があり、テイカーが情報を取りこぼすこともあります。提供された情報だけを頼りにするのではなく、自分自身でも友人に授業内容や課題、持参物などを必ず確認するようにしており、聴覚障害学生が大学で学ぶためには、同じ学科の友人の存在も大切だと話してくれました。

また、社会が求める積極性・社会性を身に付けること、夢中になれることを見つけ熱中することなど、自立した社会人になるための心構えや、充実した大学生活を送るための秘訣について話してくれました。



 


 


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Tel:092-845-6931 Fax:092-822-6503
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